スタイル別お祭り装束

 お祭りのお神輿を担ぐ際に、どのような格好をしたらいいのか分からない方や、粋な着こなしをしたい方への解説ページになります。
洋服と同じように、お祭り装束でも格好良い着こなしや、だらしない着こなしがありますので、このページを見れば、あなたのお祭りでの粋度がUPします。

  • お祭り装束の起源
  • お祭り装束の種類
  • 見学睦装束スタイルの解説
  • 標準スタイルの解説
  • 担ぎ屋スタイルの解説
  • 最後に

◾️お祭り装束の起源
 お祭り装束の起源は、古くは神事に使われた神職の装束にまで遡ります。神聖な儀式を行うための特別な装束として、神への敬意を表し、神と人との結びつきを象徴するものでした。

時代が流れるにつれて、お祭りは庶民の娯楽や年中行事として定着し、それに伴いお祭り装束も多様化していき、それぞれの地域や祭りによって特色のある装束が生まれ、現在のようなお祭り装束へと発展してきました。

特に、江戸前のお祭り装束は江戸時代に誕生した「町火消し」が起源とも言われています。町火消し達は、その勇敢な姿と独特の装束で人々から人気を集め、その影響は現在でも粋な装束のお手本となっています。




◾️お祭り装束の種類
 江戸前のお祭り装束は、庶民に親しまれた町火消し、筏師、大工の駕籠屋のいでたちがその華やかさや機能性から、多くの人々に親しまれました。
お祭り装束の基本は、手拭い、半纏、鯉口シャツ、腹掛、股引、足袋の組み合わせになります。

  • 鉢巻:かぶりものとも言いますが、手拭いを頭に被ります。巻き方は、様々ありますので、お好きな縛り方をして下さい。
  • 半纏: 職人用、太鼓用、神輿用など様々な種類がありますが、祭りで着用する半纏は、お住まいの各町会で貸し出してもらうのが一般的です。
    もちろん、自前半纏も着ることはできますが、お神輿を担ぐには許可が必要となるケースが多いです。
  • 鯉口シャツ: 衿部分が大きく開き、袖が七部丈で動きやすいのが特徴です。
  • 腹掛: 鯉口シャツの上に着用するもので、前にどんぶり(ポケット)がついているのが特徴です。
  • 股引: 太ももまでを覆うズボンで、左右の生地が分かれているため動きやすさを重視したデザインが特徴です。
    ※鯉口シャツの裾は股引の中に入れることをお勧めします。股引の外に出しているとだらしなく見えてしまいます。
  • 足袋: 祭り装束の最大の特徴は、足元の足袋にあると言ってもいいかもしれません。地下足袋、わらじ掛けに草鞋、雪駄など、スタイルによって履き分けます。


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見学睦装束スタイル
 見学睦とは、お神輿を担がずに神輿近くでの闊歩や祭り装束を着て、非日常を味わうためのスタイルになります。

 このスタイルの解説、上から

  • 鉢巻(かぶりもの)はしなくてもいいでしょう。
  • 半纏はお神輿を担がない前提ですので、自前の半纏か各町会の半纏を着用します。※お神輿を担ぐ際は、町会指定の半纏を着用してください。
  • 半纏の中は、鯉口シャツ・腹掛になります。
  • 下半身は股引になりますが、ダボついた股引ですと野暮ったくなりますので、なるべく体にあったピッタリ目の股引を着用してください。
  • 帯は、角帯・平ぐけ帯・巻帯などからお選びください。
    ここは粋に、平ぐけ帯正絹の献上帯を締めることをお勧めします。
  • 足元は、草鞋掛け足袋とわらじが良いですね。
    わらじは、藁製とビニール製のものがありますが、丈夫で長持ちするのは断然ビニール製です。
  • 袋物は様々な種類の物が販売されていますので、お好きなものをお選びくさい。

 

◾️標準スタイル
 このスタイルは、お祭り装束のスタンダードを解説しています。
特徴は、お神輿も担げ、また、担がずに見学でだけでもお神輿を楽しめる
スタイルです。

このスタイルの解説、上から

  • 鉢巻(かぶりもの)はしてもしなくても良いのですが、せっかくですので粋に鉢巻を結ぶのが良いでしょう。
  • 半纏は各町会指定の半纏を着用します、希に指定の半纏以外で担がれている方もいますが、事前に町会の許可を経て着用しています。
  • 半纏の中は、鯉口シャツ・腹掛になります。
  • 下半身は股引になりますが、ダボついた股引ですと野暮ったくなりますので、なるべく体にあったピッタリ目の股引を着用してください。
  • 帯は、角帯・平ぐけ帯・巻帯などからお選びください。
  • 足袋は、地下足袋が疲れにくく、お神輿を担ぐのに重宝します。
    色は、股引の色に合わせましょう。色違いはいただけません。
  • お神輿を担ぐ際は荷物を持ったまま担ぐことができないので、ポシェットやポーチなどを活用することをお勧めします。

 

◾️担ぎ屋スタイル
 担ぎ屋スタイルは、シンプルかつ粋で威勢の良い格好が特徴となります。江戸時代でいう駕籠屋や飛脚などの格好が見本となります。

このスタイルの解説、上から

  • 鉢巻(かぶりもの)はしてもしなくても問題ありませんが、最近では手拭いではなくタオルを巻いている方も増えておりますが、江戸前は手拭いを結んだほうが粋ですね。
  • 半纏は各町会指定の半纏および、神輿同好会に入られている方は同好会の半纏を着用してください。
  • 半纏の中は、鯉口シャツもしくは、素肌になります。
    胸元には首から下げた千社札が見えるのも格好良いかも知れません。
  • 下半身は半股引もしくは、締込み(褌)になりますが、店主は締込みをお勧めします。締込み一丁で恥ずかしいという方向けに腹巻きをミニスカートのように巻くのも良いでしょう。
  • 帯は、角帯・平ぐけ帯・巻帯などからお選びください。
  • 足元は、素足にわらじが粋で勇ましく格好良いのですが、神輿場は長丁場となりますので、地下足袋の方が疲れにくいです。
    地下足袋の中でも、丈が短めなものをお勧めします。色は、白・黒・紺とありますが、江戸前は白い地下足袋がほとんどになります。
  • お神輿を担ぐ際は荷物を持ったまま担ぐことができないので、ポシェットやポーチなどを活用することをお勧めします。

 

◾️最後に
 見学睦スタイル、標準スタイル、担ぎ屋スタイルの解説をしましたが、江戸時代よりお祭りのお神輿は、庶民が築き上げてきた伝統文化の一つでもあります。
日本は古来より様々な伝統文化がありますが、庶民参加型の伝統文化はお祭りのお神輿をおいて他にはないでしょう。

この機会に是非一度、お神輿の身支度を整えて様々なスタイルでお祭りに参加されることをお勧めします。そして、お神輿を担ぐ際には本記事をぜひ参考にしていただければ幸いです。

 

筆者:丸直商店 店主
   江戸前の祭りを愛し、一年を通し様々な神輿場に参加をしております。